岩本食品の歴史

え〜、いつも大変お世話になっております。
会長をやらさいてもうてます岩本公作です。
今回は、梅干屋「ぷらむ工房」の、先祖代々の話をみなさんにいっぺん聞いてもらいとうて、登場させて頂くことになりました。

創業者  孫太夫とカツ

まずはむか〜しむかし、今から130年位前、ここみなべの地で鍛冶屋を営む「岩本国蔵」の長男として生まれた「孫太夫」の話から。
孫太夫の子供時代は学校へも行かれへんほど貧しくて、7歳位から馬に米や塩、備長炭なんかを乗せて村を往復する「駄賃持ち」ていう仕事をやっとってな。やがて父、国蔵の弟子となり、30歳の時に鍛冶屋仲間の職人さんから「おまえは働きもんのええ青年や、わしの娘を嫁にどうや」という見合い話が持ち上がり、その娘「カツ」と結婚したんや。
その嫁は、読み書きソロバンが得意の上、これまたよく働く女性でな。「カツ」の実家が梅屋もやっていた事から、ある日「お父さん、梅干屋をやってみらんか」と提案されてな。こんなよくできた嫁がいうことやから…と孫太夫も即決し、これが「ぷらむ工房」の母体となったわけですわ。
貧しかった子供時代、近所の人にお金を貸してくださいと頼みにいった際、「ふん」と鼻で笑われあしらわれた悔しい体験をバネにがんばり続けた結果、人位を雇って梅を収穫し、漬けて干して商品にしては東京や大阪に出すという、大〜きな商売に繋げていったんや。
そんな中、戦争がはじまって、梅干しは戦場ではなくてはならない常備食としてどんどん売れるようになってな。みなべでは知らん人がいてへん位の大金持ちになったそうやわ。

そして2代目、わしの父親「義一」の時代に入っていくんやけど、義一は鍛冶屋時代の屋号を使って「株式会社 谷国」ていう会社にして貿易業にも発展させるんやけどな。為替で大失敗をしてしまい、会社は倒産してしまうんや。わしが4歳の時の事でなあ

カツばぁちゃんとみさ子の三日月梅

でも「ここで商売を終わらせてしまったらあかん!」とカツばあちゃんとわしの母ミサ子が奮起してな。どんな厳しい状況でも決して諦めず、嫁と姑の2人だけで梅屋をしながら、多くの人がこの地を訪れる南部梅林で1ヶ月間だけのお店「うぐいす茶屋」を開店させたんや。
「三日月梅」もこの店に来てくれるお客さんに喜んでもらえる食べもんを!との一心で生み出された逸品でな。夜は寝る間も惜しんで「三日月梅」を作り、うどんやおでん、お酒も用意して毎日お客さんをお迎えしたんや。
「三日月梅」は有り難い事に梅林名物となっていってな。開店から数年経ったある日、有名デパートのバイヤーの人の目にとまって、数々の有名デパートで販売してもらえるようにまでなったんや。

笑顔と感謝を忘れない ものづくり・ひとづくり・まちづくり

しばらくして、3代目となるわしも結婚をして、会社を継がせてもらったんやけどな。小さい頃から親の苦労も十分にわかっとったし、受け継がれてきた梅干しの良さていうのも体に染み付いている感じや。
梅干しが、昔からなぜここまで日本人に親しまれてきたかと考えると、自信をもっていえるのは、体にいい食べもんやから。
紀州みなべの南高梅を、もっと多くの人に味わってもらいたくて、自社の売店も開店させ、通信販売もはじめて、今に至ってるんですわ。
人生、山あり谷ありとはよく言いますが、会社を100年、200年と続けていくことは、これまた大変なことやと今回の受賞で改めて思いました。それと共に、ここまで続けさせてもろてるいうんは、ほんま有り難いことやなぁと、感謝の気持ちでいっぱいになったんです。
長い話にお付き合いしてもろて有り難うございます。
そんな訳でこれからもぷらむ工房は、創業者魂をしっかり受け継ぎ、時代のニーズも取り入れながら、笑顔と感謝を忘れない、いつまでもみなさんに愛され続ける梅干屋でありたいと思います。
がんばるでぇ〜(笑)今年の感謝祭もぜひ遊びに来たってよ〜

和歌山県の百年企業として表彰されました。

100年以上にわたって事業を継続している企業(同一業種で現在従業員が10名以上)に贈られる、和歌山県の「百年企業表彰」に岩本食品(ぷらむ工房)が選ばれました。
2回目となる2009年度は37社が受賞。ぷらむ工房は明治39年に創業し、今年で111年目です。

弊社が商いを始めたのは明治39年にさかのぼります。 以来、梅に携わって100有余年。親子四代にわたって受け継がれ、わが家の話は郷土絵本の題材にもなり、わかやま絵本の会から「わたしの家は梅農家」の題名で発売されました。*
和食はユネスコ無形文化遺産にも登録されておりますが、梅干しもまた日本を代表する伝統食であります。
「おばあちゃんの味」など懐かしさを思い浮かべる梅干しの暖かみや良さを皆様にお伝えし、歴史的にも日本人の健康と深く関わってきた梅干しの伝統を守り、グローバルな現代のさまざまなニーズにお応えしながら新たな商品開発やサービスに取り組み続けます。

代表取締役社長 岩本 智良

*わかやま絵本の会 郷土絵本NO.37「わたしの家は梅農家」  http://www8.plala.or.jp/p-yume/waka-ehon/index.htm